電気自動車に乗る

本稿では,三菱の電気自動車"i-MiEV"に乗った感想について述べる。

先日,三菱の電気自動車"i-MiEV"に少し乗る機会があった。

まず,運転席に座って椅子とミラーを調整する所から始めたが,これは当然,ガソリン車とは変わらない。問題は,エンジンを掛ける所からである。

そもそも,電気自動車であるからして「エンジンを掛ける」という表現がおかしい。妥当な表現としては,「スイッチを入れる」や「電源を入れる」位になるのだろうか。そういった事を考えながらブレーキを踏み,ツマミをひねって電源を入れた。

電源を入れたといっても,当然ながらセルモーターの音もエンジンの音もしない。多分電源が入ったと思う理由は,計器類の光と半導体のスイッチング音,それにFMラジオの音である。別にディーゼル車の予熱をしている訳では無い。

その計器であるが,この車にはタコメーターの代わりに,力行と回生の度合を示すメーターが付いている。こういった計器が好きな人には,真上が±0アンペアの電流計にしてしまった方が分かりやすいのではないかと思う。

パーキングブレーキを緩めて,セレクタレバーをDレンジにする。ブレーキを緩めたら,前へゆっくりと車が動き出した。クリープに相当するものがあるのかと驚く。そもそもクリープが無いと思っていたのは,電車の運転を基準にして考えていたからか,それともマニュアル車を運転するからか。いや,トルクコンバーターが無いからか。

DレンジとEcoレンジで,それぞれの加速を試す。Dレンジにすると,軽自動車にしては結構速い。1500ccのガソリン車に乗っているような感覚である。その一方,Ecoレンジでは加速が,軽自動車でも660cc自然吸気のガソリン車並に抑えられている。どちらのレンジで加速しても,ガソリンエンジンと比較すれば,モーターの音はかなり静かである。但し,人によっては半導体のスイッチング音が気になるかも知れない。

適度に加速したので,アクセルを離して惰性運転に移る。僅かに回生が掛かっているのを見て,エンジンブレーキの分だけ回生を掛けているのかと納得する。しかし,軽自動車のエンジンブレーキに近くなるよう設定しているのか,利きがやや強い。これだったら,回生を掛けないでも良いのではないかと思った。

信号が赤なのでブレーキを掛ける。メーターを見ないと,あまり回生を使っているというのは認識出来ない。

そんな事をしている内に,近所を走って試乗は終わった。

© Keisuke Uchida 2009
URI:https://www.conductorless.org/memo/me4
公開日時:2009-11-03T00:00:00+09:00